アトピーに効果がある乳酸菌
日本人の2人に1人が何かしらのアレルギーを持っていると言われるほど日本はアレルギー大国となっています。
アレルギーの中でもかゆみのある湿疹により夜も寝られないほど症状が重たくなってしまうのがアトピー性皮膚炎です。
以前は小児で発症する病気と認識されていましたが、近年では大人になってから発症してしまう方も少なくありません。
アトピー性皮膚炎の原因ははっきりとは特定されていませんが、次のような要因が発症や悪化の原因とされています。
・遺伝体質
・食生活の欧米化
・不規則な生活習慣
・ダニやハウスダスト
・カビなどのアレルゲンへの接触
・物理的刺激
です。
これらの要因によってアトピー性皮膚炎の患者には免疫力が低下している、胃腸の働きが悪い、皮膚・腸内のバリア機能が弱いといった共通の特徴があります。
つまり腸内環境の悪化がアトピー性皮膚炎に関係しているのです。
アトピー性皮膚炎の症状が発症するメカニズムには免疫細胞が影響しています。
ヒトの体内には外敵から体を守るための免疫反応というシステムがあります。
免疫反応には大きく2種類あり、直接侵入してきた菌を殺す方法と菌の種類を記憶しておいてIgE抗体という大量の武器を使って攻撃する方法です。
IgE抗体はTh1細胞とTh2細胞という免疫細胞のバランスによって調節されています。
アトピー性皮膚炎の患者ではこれらの免疫細胞のバランスが崩れてしまって、IgE抗体を作る指示を出すTh2細胞が異常に活性している状態になっています。
過剰に作られたIgE抗体が肥満細胞に結合し、炎症を引き起こすヒスタミンという物質が放出されてしまうのです。
実はこれらの免疫反応は主に腸内で調節されています。
故に腸内環境が悪化すればこのような免疫システムの誤作動が起こってしまうのです。
乳酸菌は腸内環境を改善するという働きがあります。
それだけではなく、直接免疫細胞のバランスを整えるという作用もあるのです。
実際にL-92乳酸菌ではIgE抗体の産生を抑制し、Th1細胞の働きを活性化させることで免疫細胞のバランスを整えるという研究報告があります。
また、1から12歳の小児にこの菌株を摂取させたところアトピー性皮膚炎の改善が確認されました。
KW3110と呼ばれる菌株にも同様の効果がある事が研究成果として挙げられています。
腸内環境の改善と免疫反応の正常化のダブルの効果によって乳酸菌はアトピー性皮膚炎の症状を改善することができるのです。